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2006年4月30日 (日)

【民法】 法定追認と追認の意思表示

■条文

123条 【取消し及び追認の方法】
取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、 相手方に対する意思表示によってする。

 

 

124条 【追認の要件】
 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、 その効力を生じない。

 成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、その了知をした後でなければ、追認をすることができない。

 前二項の規定は、 法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をする場合には、適用しない。

 

 

125条 【法定追認】
前条の規定により追認をすることができる時以後に、 取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、 この限りでない。
 
 一  全部又は一部の履行
 二  履行の請求
 三  更改
 四  担保の供与
 五  取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
 六  強制執行
 
 
■解説
123条の追認(以下では一般追認と表記する)の場合、 追認権者は取消権の存在を認識している必要があるが、125条の法定追認の場合、追認権者は取消権の存在を認識していなくても良いと、 一般に解されている。

これは、何故か?
結論から言えば、相手方の信頼の保護の必要性の強さが違うからである。


一般追認で取消権の存在の認識が必要とされている理論的根拠は、 追認が取消権の放棄の性質を持つという点にある。

つまり、取消権の放棄(消滅) という法律効果の発生をもたらすためには、効果意思が必要であり、 効果意思を発生させるためには放棄の対象となる権利の存在を認識していることが必要なのである。

そして、実際的に考えても、意思表示しか為されていない段階では、相手方保護の必要性はそれほど高くはない。

他方、法定追認の場合は、条文を読めば明らかなように「全部又は一部の履行」や、「履行の請求」のように、 法律行為の内容を実現するための行為が現実的に行われるのである。
 
そのため、このような現実的行為の相手方は、取消しうる行為が存続するということについて強い信頼を有することになる。
 
何故ならば、法律行為の内容を実現するための行為が為されるということは、その行為の有効性を当然の前提としているからである。

従って、法定追認の場合は取消権の存在の認識は不要とされているのである。

以上の説明を、より分かりやすく説得的に示した本としては、京大の佐久間先生の基本書がある。

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