【民法】 間違えやすい法律知識
- 【2010年05月09日追記】 以下の拙稿の内容については,内容が不正確である旨のご指摘をいただいています。そして,そのご指摘は的を射たものだと考えられます。その点については,こちらを御覧いただければ幸甚です。
ふと、思い出したので、記述。
自分が今までに受けてきた質問を振り返って見ると、多くの人が誤解している事項、正確に理解していない命題というものがある。
今回は、その中でも典型的なものを2つ挙げてみる。
第1は、「無権代理は無効原因である」という命題。
長年勉強してきた人の中でもこの命題を正確に理解していない人が多い。
ゼミなどのイントロダクションで「無効原因を列挙してください」と質問した場合、無権代理をはっきりと提示できる人は結構少ない (母校でも少なかったことを鑑みると、 全国的にも決して多くは無いと思う)。
第2は、「契約は意思が合致した(ように思われる)時点でひとまず成立する」という命題。
この命題も正確に理解されていないことが多い。
確かに、この命題を意識しなければならないような問題・論点はあまり無いので、現実的には、 この命題を理解していなければ得点にならないという事態はほとんど生じないだろう。
だが、契約法のかなり基本的な命題なので理解しておいて損は無いと思う。
契約は意思が合致した(ように思われる) 時点でひとまず成立するのである。
正確に言えば、意思の合致だけが契約の成立要件なのである。
そして、心裡留保や虚偽表示、錯誤にによる無効、詐欺・脅迫による取り消し、その他有効要件は、 この成立した契約を前提として初めて問題になる。
正確に言えば、これらの有効要件は、成立要件の後に初めて問題になるのである(訴訟では、有効要件の不充足が抗弁となる)。
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