【行政法】 お薦めの基本書4
■行政法
★入門書
『行政法入門』藤田 宙靖 (著)
入門書としては本書が群を抜いている。名著である。
著者は東北大学名誉教授で、現・最高裁判事の藤田宙靖(ときやす)先生。
行政法の著名な研究者であり、長年に亘って教育に携わって来られただけに、平易な文章で分かりやすく説明をされる。
しかも、入門書という性格を強く意識されて書かれている。例えば、初学者の間違えやすい点への言及があったり、 日常生活と行政法のリンクなどが記されている。
これから行政法を学ぶのであれば、本書は必読であると考えられる。
ただ、これは必要条件であって十分条件ではない。
本書はあくまで入門書に過ぎない。
また、本書は入門書としての配慮からか、伝統的な学説に則った記述が為されており(この方針は正しいと思う。入門書はまずオーソドックスな内容を伝えるべきだろう)、 ローで学ぶ法曹の視点が色濃く出た「行政法」に即効性がある訳ではない。
とは言え、本書が良書であることは間違いない。購入して損は無いと思う。
他方、本書は法曹としての性格がかなり反映されている。
具体的に言うと、従来の行政法の基本書に記されていたような学問的な沿革や、分類論、法的性格論などが最低限の量に圧縮されており、 判例・実務や現代的な問題点などにその紙幅の多くが費やされている。
従って、ローでの行政法には本書が向いていると思われる。
1冊で行政法総論と行政救済法がカバーされており、分量も適切である。
決して詳細な学術書ではないが、新司法試験対策としては適当であると思われる。
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コメント
質問です。
最終文の「新司法試験対策としては適当ではないと思われる。」
という部分は、適当である、という意味になると思うのですが、いかがでしょうか。
投稿: ki | 2006年7月23日 (日) 01:57
ご指摘のとおりです。
入力を誤ってしまいました。
ご指摘、ありがとうございました。
投稿: shoya | 2006年7月23日 (日) 14:02