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2006年5月17日 (水)

【民法】 侵害利得・給付利得の体系の概観

以下の分類は、山本敬三先生の 『民法講義ノート4 下1』によっている。

 

分類を理解するのに役立つと思われるポイントは2つある。

 

第1は、189~191条が適用される場面は侵害利得の場合に限定されるのか?という点である。

この問題について、伝統的通説である公平一元論は限定されないとし、類型論の多くの論者は侵害利得に限定される、とする。

 

第2は、給付利得には、一方的給付の「清算」と、双方的給付の「清算」 の2つの場面があるという点である。

そして、703条・704条は本来的には一方的給付を対象とした規定である。

 

 

【侵害利得】

1.交換価値の「返還


  原物の滅失・毀損 ━┳━ 191条が適用(公平一元論
                  ┗━ 703条・704条が適用(四宮説など

  原物の処分 ━━ 703条・704条が適用

 

2.利用価値の「返還」 ━━ 189条・190条が適用

 

 

【給付利得】


1.一方的給付の「清算」

  物の給付 ━┳━ 703条・704条が適用(類型論
            ┗━ 189条・190条が適用(公平一元論

 

  金銭の給付 ━━ 703条・704条が適用される

 

2.双方的給付の「清算」


  交換価値の清算 ━┳━ 二請求権連動構成(公平一元論
               ┣━ 対価危険的構成(四宮説など
               ┗━ 給付危険的構成(磯村説など

 

  利用価値の清算 ━┳━ 189条・190条が適用(公平一元論
               ┣━ 575条が類推適用(四宮説など
               ┗━ 703条・704条が適用(磯村説など

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