【民法】 侵害利得・給付利得の体系の概観
以下の分類は、山本敬三先生の 『民法講義ノート4 下1』によっている。
分類を理解するのに役立つと思われるポイントは2つある。
第1は、189~191条が適用される場面は侵害利得の場合に限定されるのか?という点である。
この問題について、伝統的通説である公平一元論は限定されないとし、類型論の多くの論者は侵害利得に限定される、とする。
第2は、給付利得には、一方的給付の「清算」と、双方的給付の「清算」 の2つの場面があるという点である。
そして、703条・704条は本来的には一方的給付を対象とした規定である。
【侵害利得】
1.交換価値の「返還」
原物の滅失・毀損 ━┳━ 191条が適用(公平一元論)
┗━ 703条・704条が適用(四宮説など)
原物の処分 ━━ 703条・704条が適用
2.利用価値の「返還」 ━━ 189条・190条が適用
【給付利得】
1.一方的給付の「清算」
物の給付 ━┳━ 703条・704条が適用(類型論)
┗━ 189条・190条が適用(公平一元論)
金銭の給付 ━━ 703条・704条が適用される
2.双方的給付の「清算」
交換価値の清算 ━┳━ 二請求権連動構成(公平一元論)
┣━ 対価危険的構成(四宮説など)
┗━ 給付危険的構成(磯村説など)
利用価値の清算 ━┳━ 189条・190条が適用(公平一元論)
┣━ 575条が類推適用(四宮説など)
┗━ 703条・704条が適用(磯村説など)
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