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2006年5月30日 (火)

【民法】 不法行為、不当利得、物権的請求権の共通点・相違点〔その1〕

いきなりだが、次の設例を解いてみて欲しい。


【設例】
Xの所有する絵画がYに盗取された。
(1) XY間の法律関係について述べよ。
(2) Yがその絵画を展示することで利益を得ていた場合、XY間の法律関係に変化はあるか?


今日は(1)についての説明をしよう。
ちなみに、(2)はいわゆる準事務管理などの問題であるが、それはまた別の日に。


(1)の場合、XはYに対して、所有権に基づく返還請求権を行使することもできるし、不当利得による絵画返還請求権や、 不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することもできる。

では、これらの請求権の効果は同じなのだろうか?  どれを行使しても、もたらされる結果は同じなのだろうか?


まずは、一般論を述べよう。
尚、以下に記述する要件は厳密な意味での要件ではない。分かりやすくするために、圧縮した表現を用いている。


■物権的請求権
【要件】 物権の客観的侵害
【効果】 物権=原物の回復


■不当利得 (侵害利得
【要件】 権利の客観的侵害
【効果】 侵害された「価値」の回復

※不当利得についてはこれらの記述も参考されたい。
http://etc-etc-etc.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_c05a.html

http://etc-etc-etc.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_40b7.html


■不法行為
【要件】 故意・過失による権利侵害
【効果】 侵害から生じた「損害」の填補

つづく

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