【刑訴】 択一的認定の定義と種類
今日は、刑事訴訟法の話。
それも、択一的認定の定義と種類について。
マイナーな話で恐縮だが……。
気を取り直して、早速説明しよう。
「択一的認定」に登場する主な概念としては、
1. 択一的認定(真正の択一的認定)
の他に、
2. 秘められた択一的認定
3. 論理的択一関係
4. 心証上の択一関係
の4つがある。
そして、1と2が「認定」、3と4が「関係」という言葉を用いていることからも分かるように、1&2と3&4は別物である。
即ち、1&2は実際の「判決の事実認定の記載方法」についての概念であり、3&4は「裁判官の心証」についての概念なのである。
■判決の事実認定の記載方法について
1.択一的認定(真正の択一的認定)
真正の択一的認定とは、ある事実が、公訴事実の同一性の範囲内にある2つの事実A・Bのいずれかであることについて合理的疑いを超える心証を抱いているが、そのいずれであるかを認定できない場合に「A、またはBである」と認定判示する方法を言う。
2.秘められた択一的認定
秘められた択一的認定とは、ある事実が、公訴事実の同一性の範囲内にある2つの事実A・Bのいずれかであることについて合理的疑いを超える心証を抱いているが、そのいずれであるかを認定できない場合にA、またはBのうち、初めから被告人に有利な方の事実だけを認定判示する方法を言う。
従って、判決文上に「A、またはBである」という文章は登場しない。
■裁判官の心証について
3.論理的択一関係
論理的択一関係とは、人の生死や時の先後のように、いずれか一方であることが論理上間違い無い関係にあることを言う。
つまり、A・Bを区別する要素が択一的な関係にある場合である。
4.心証上の択一関係
心理上の択一関係とは、論理的択一関係には無いが、心証上はAまたはBであることが間違いないという関係にあることを言う。
通説によれば、故意犯と過失犯、窃盗罪と盗品等無償譲受け罪などがこの関係にあるとされる。
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