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2006年6月 9日 (金)

【民法】 混同 ――法定地上権と関連して・その2

今回も、法定地上権と混同について、一言。

ただ、今回の投稿の内容は前回の問題の解説である

 

 

 

■前回の問題

抵当権設定時には土地所有者と建物所有者が異なっており、 土地にだけ抵当権が設定されたが、抵当権設定後に土地所有者が建物所有権を取得し、 抵当権が実行された段階では同一所有者になっていたとする。

 


 

Q1.

この場合、判例・多数説は法定地上権の成立を否定する。

 

そして、その理由は、土地抵当の場合は約定利用権の目的たる土地が第三者の抵当権の目的となっているから、約定利用権は、 179条1項但書・520条但書に定める混同の例外として消滅しないという点に求められる。

 

では、この場合、「その物又は当該他の物権」とは何か? それが「第三者の権利の目的である」とはどういう意味か (179条1項但書)?

 

または、「その債権が第三者の権利の目的である」(520条但書)とは何を意味しているのか?

 

 

 

Q2
この場合の根拠条文は179条1項但書か、それとも520条1項但書か?

 

 

 

■Q2の説明

説明の便宜のため、Q2から説明する。

 

この問題について、最高裁は、やや異なる事案に対する判決ではあるが、次のように述べる(ただ、この判決の射程は設問にも及ぶものと考えられる)。

 

「特定の土地につき所有権と賃借権とが同一人に帰属するに至つた場合であつても、 その賃借権が対抗要件を具備したものであり、かつ、その対抗要件を具備した後に右土地に抵当権が設定されていたときは、 民法179条1項但書の準用により、賃借権は消滅しないものと解すべきである。そして、これは、 右賃借権の対抗要件が建物保護に関する法律1条によるものであるときであつても同様である」 最判昭和46年10月14日民集25巻7号933頁)。

 

 

従って、Q2に対する解答は、179条1項但書の準用(類推適用ということになる。

 

この解答に対しては2つの疑問が生じるはずである。

 

即ち、

 

第1は、何故、類推適用なのか?

 

という疑問であり、

 

第2は、何故、179条1項但書なのか?

 

という疑問である。

 

 

第1の疑問については、この事件を担当された奥村調査官が調査官解説で明快に説明されている。

 

即ち、本件で「同一人に帰属した」ものは、所有権と賃借権である。

つまり、物権と債権が同一人に帰属している。

 

ところで、条文の文言を厳格に解釈すると、179条1項本文は、「所有権及び他の物権」が同一人に帰属した場合 (=2つの「物権」が同一人に帰属した場合) を対象としており、物権と債権が同一人に帰属した場合を対象としている訳ではない

 

この理は、同条項但書にも妥当する。

 

同様に、520条本文は、「債権及び債務」 が同一人に帰属した場合を対象としており、 物権と債権が同一人に帰属した場合を対象としている訳ではない

 

この理は、同条但書にも妥当する。

 

従って、179条1項但書も520条但書も、直接適用することはできないのである。

 

 

 

そして、同じく、第2の疑問点についても、奥村調査官は次のように説明する。

 

即ち、

 

「不動産の所有権と対抗要件を具備して物権化した賃借権とが混同するに至った場合の効果については、 その賃借権を物権、とくに地上権に準じて取扱い、民法179条1項但書を準用すべき」

 

と最高裁は考えたのである(尚、我妻榮『債権各論 中巻1 (民法講義5-2)』〔岩波書店、昭和32年〕432頁も参照)。

 

話が長くなってしまった。

 

Q1の解説については次回。

 

つづく。

 

【民法】 混同 ――法定地上権と関連して・その3
http://etc-etc-etc.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/post_46b3.html

 

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