平成18年度 旧司法試験 民法試験問題
今年度の民法の試験問題、だそうです。
■第1問
Aは、Bに対し,A所有の甲絵画(時価300万円。以下「甲」という。)を200万円で売却して引き渡し,BはAに代金全額を支払った。
Bは,その1か月後,Cに対し,甲を300万円で売却して引き渡し,CはBに代金全額を支払った。
現在,甲はCが所持している。
AB間の売買は,Bの詐欺によるものであったので,Aは,Bとの売買契約を取り消し,Cに対し甲の返還を求めた。
問1
(1) Aの取消しがBC間の売買契約よりも前になされていた場合,AC間の法律関係はどうなるか。考えられる法律構成を2つ示し, 両者を比較しつつ,論ぜよ。
(2) (1)の場合において,Cが甲をAに返還しなければならないとき,BC間の法律関係はどうなるか。
問2
Aの取消しがBC間の売買契約よりも後になされた場合,AC間の法律関係はどうなるか。
考えられる法律構成を2つ示し,両者を比較しつつ,論ぜよ。
なお,これらの構成は,問1(2)で示した2つの構成と同じである必要はない。
■第2問
Aは,B所有名義で登記されている建物(以下「本件建物」という。)をBから賃借して引渡しを受け, 本件建物で店舗を営んでいる。
Aは,賃借に当たってBに敷金を支払い,賃料もBに遅滞なく支払ってきた。
ところが,本件建物は,真実はBの配偶者であるCの所有であり, CがBに対し,Bの物上保証人として本件建物に抵当権を設定する代理権を付与し登記に必要な書類を交付したところ, Bが,Cに無断でB名義に所有権移転登記を経由した上,Aに賃貸したものであった。
以上の事案について,次の問いに答えよ(なお,各問いは,独立した問いである。)。
問1
Aが本件建物を賃借してから1年後に,Aは,その事実を知ったCから本件建物の明渡しを請求された。
Aは,Cに対し,どのような主張をすることが考えられるか。
問2
Aは,本件建物がBの所有でないことを知った後,Cに対してBとの賃貸借契約が当初から有効である ことを認めてほしいと申し入れたものの,Cは,これを拒絶した。
その後,Cが死亡し,BがCを単独相続したところ,Bは,Aが本件建物を賃借してから1年後に, Aに対し本件建物の明渡しを請求した。
(1) Aは,Bに対し,BがCを単独相続したことを理由に本件建物の明渡しを拒絶することができるか。
(2) 仮に(1)の理由で明渡しを拒絶することができないとすれば,Aは,Bに対し,どのような主張をすることができるか。
特に敷金の返還を受けるまで本件建物の明渡しを拒絶すると主張することができるか。
| 固定リンク
「学問・資格」カテゴリの記事
- 【民法】 権利者からの取得が明らかな場合の即時取得(2010.02.20)
- 【民訴・民裁】 処分証書に関する覚書(2009.12.03)
- 【余談】 修習で役立つ書籍・刑事編(2009.11.30)
- 【余談】 修習に役立つ書籍・民事編(2009.11.28)
- 【憲法】 処分に関する違憲審査基準について・その2(2009.02.18)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント