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2006年8月14日 (月)

【余談】 ○○保存の法則

吉永先生が、ご自身のブログで、熱量保存の法則を比喩の材料として、分かりやすく、そして面白い説明をされています。

民法教員のタテマエ? 2nd ed. : 権利関係保存の法則?

http://mimpo.jugem.jp/?eid=960



先生の記事の中でも印象に残ったのが、次の部分です。

「事例問題などで、一つのものが転々と売られ、しかもその過程で譲渡担保が行われたり二重譲渡があったりなんていう複雑な事例に接するとパニックに陥ってしまい、『なんか知らんけどいつの間にか権利を持っていることになっている』とか『よくわからないけど、このとき権利はなくなっていそうな気がする』という、きわめて曖昧なところから論述してしまう、、、なんてことがけっこうみられる(というか、私自身も学生時代を振り返るとこうした落とし穴に陥っていた気がします)のです。」(太字は引用者


この現象は私もしばしば見受けます。

特に、契約法などをやや突っ込んで勉強すると、その応用的・発展的な議論にばかり目が奪われて、基本的な部分が疎かになりがちな人が少なくないような気がします。


例えば、民法の錯誤論――これ自体は民法総則の範囲に含まれますが――では、学説が百花繚乱の相を呈していますが、「錯誤が問題になるのは契約が『一応』成立してからだ」という基本的事項が分かっていない人が案外たくさんいます。


……と、偉そうに言っていますが、私も学部時代にS先生(いつもの先生です)の御指導を賜るまでは分かっていませんでした。
かなり出来の悪い教え子でしたので……。


ところで、どうも、刑法などと比べると、民法では体系的に理解するということが蔑ろにされている傾向がありますが、しかし、やはり民法も法律の1つである以上、体系的な理解が必要です。


何故ならば、体系的に理解することによって、初めて実際の問題をスムーズに処理することができ、また、現行法が意図している適切な処理が可能になるからです。

ちなみに、体系的理解の重要性については山口厚先生の『刑法総論』(補訂版、有斐閣、2005年)の冒頭部分が参考になるかもしれません。

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