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2006年8月 3日 (木)

【民法】 466条2項但書の証明責任

今日は、債権譲渡禁止特約における「善意の第三者」の主張・立証責任についての備忘録的な話。
特に目新しい話ではない。


466条 【債権の譲渡性】
1項

債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

2項
前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。


主張・立証責任に関しては、いわゆる法律要件分類説が伝統的通説である。

そして、この見解を素直に適用すれば、466条2項の「善意の第三者」たる事実は、債権譲渡禁止特約の対抗を受ける者、つまり、債権の譲受人が主張・立証しなければならないはずである。


しかし、判例・通説は、そのように考えていない。


即ち、判例・通説によれば、債権譲渡禁止特約の効果を主張する者が、その相手方の悪意、または重過失を主張・立証しなければならないと考えられているのである。


【設例】
債権者Gが、債務者Sに対して金銭債権を有していたが、その債権についてはGS間で債権譲渡禁止特約が締結されていた。
しかし、Gは、この特約を破って、同債権をDに譲渡した。


従って、上記設例の場合、債務者Sが、債権譲渡禁止特約の存在を主張・立証し、かつ、Dの悪意、または重過失を主張・立証しなければならないのである。


そして、このような法律要件分類説の修正が為される理由は、債権譲渡の自由性466条1項本文)に求められる。
即ち、現行法においては、債権譲渡は自由であることが大原則であり、債権譲渡禁止特約はその原則に対する大きな例外である。


従って、そのような例外を主張する者にこそ、主張・立証責任を負わせるべきである。
判例・通説は以上のように考えているのである。

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