【刑法】 罪数論の体系
今日は、罪数論の体系の話。
……と言っても、目新しいことを特に言う訳ではない。備忘録的な投稿である。
一罪 ―┬― 本来的一罪 ―┬― 単純一罪
| ├― 包括一罪
| └― 法条競合
|
数罪 ―┴― 科刑上一罪 ―┬― 観念的競合
└― 牽連犯
数罪 ―┬― 併合罪
└― 単純数罪
■定義
包括一罪とは、外形上、複数の「行為」が存在し、数個の構成要件に該当するように見えるが、
いずれの行為も同一の構成要件的評価に包括される場合を言う。
法条競合とは、条文上、数個の構成要件に該当するが、
理論的に1個の犯罪しか成立しない場合を言う。
そして、法条競合には、特別関係、補充関係、択一関係、吸収関係があると考えられている。
但し、「この法条競合という概念と包括一罪という概念の使い方は、学説でも必ずしも一致しているわけではない」 (平野龍一『刑法概説』〔東京大学出版会、1977年〕 134頁)。
ただ、通常は、包括一罪の場合は複数の構成要件に該当する複数の事実が存在し、 法条競合の場合は1個の事実しか存在しないという違いが認められる。
そして、包括一罪と法条競合は、理論的に1つの犯罪しか成立していないと考えられるので、本来的に一罪である。
これらと初学者が混同しがちなのが、科刑上一罪の観念的競合である。
観念的競合とは、1個の行為が数個の構成要件を充足する場合を言う(数個の構成要件は同じものでも異なるものでも良い)。
観念的競合の場合は、理論的に複数の犯罪が成立している。
その点で、本来的一罪である包括一罪・法条競合とは異なるのである。
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