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2006年9月 8日 (金)

【民法】 瑕疵担保責任の基礎知識・その1

今日は、瑕疵担保責任の基礎知識について

この話題は長くなりそうだが……。

 

■条文

570条 【売主の瑕疵担保責任】
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。 ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

 

566条 【地上権等がある場合等における売主の担保責任】
第1項
売買の目的物が地上権、永小作権、 地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、 買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

 

第2項
前項の規定は、 売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。


第3項
前2項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、 買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

 

 

■瑕疵の定義

瑕疵の定義については争いがある。

即ち、客観的瑕疵概念主観的瑕疵概念こちらが通説と言って良い)である。

 

客観的瑕疵概念は、

瑕疵=取引上一般に期待される性質・ 品能を欠くこと

と定義する。

 

 

 

他方、主観的瑕疵概念は、

瑕疵=契約内容とされた性質を欠いていること

と定義する。これは、端的に、給付された目的物が契約の趣旨に合致していない場合と言い換えることができる。

 

但し、両者は必ずしも排斥し合うものではない。

 

何故ならば、「その種類の物として通常有すべき性質」は、ほとんどの場合、契約内容とされているので、 主観的瑕疵概念は客観的瑕疵概念を事実上包含するからである。

 

尚、よく誤解されるが、上記の主観的瑕疵概念はいわゆる法定責任説からも主張されている詳細は、例えば山本敬三『民法講義4-1 契約』〔有斐閣、2005年〕 281頁参照

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