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2006年9月 8日 (金)

【法律学の基礎】 判例・通説?

学習院大学の高木光先生のサイトに興味深い記事がございましたので、 ご紹介致します。

 

「判例通説」か「通説判例」か?
http://homepage3.nifty.com/hikaru-takagi/hLuR.htm

 

ちなみに、私は、拙稿で「判例・通説」という表現を用いていますが、その際、意識的に「通説・判例」という表現は避けています。

 

その理由は幾つかありますが、最大の理由は、この日本という国を――この社会を―― 実際に「直接的」に動かしているのは最高裁を頂点とする裁判所であって、学説ではないという考えに基づいています。

 

つまり、実際に当事者――特に、刑事事件の場合は被害者と被告人――に直面し、 刑罰権をはじめとする司法権を発動するのは裁判官の方々です。

 

裁判官の方々は、目の前の当事者の生の声を聞き、時には義憤に駆られ、時には苦渋の決断を下し、日々、 条文と現実の狭間で格闘しておられます。

 

そして、裁判官の方々は、社会の批判や最高裁事務局の「眼」、何より自省の念に取り囲まれながら―― あたかもダモクレスの剣の下の王のように苦しみながら――「妥当な解決」 という難問を解決していかなければなりません。

 

このようにして裁判官の方々が下した判断が集積したものが判例です。

このことからすると――このような言い方は大変失礼かと思いますが――判例は、大学という一種の「安住の地」で教育・ 研究活動に携わっておられる先生方の判断(学説)とは、 やはり質的に異なる部分があるのではないかと思います。

 

勿論、判例が常に正しいとは思いませんし、金科玉条のように崇めるのは大きな間違いだと思います。

ですが、判例を蔑ろにする姿勢は決して正しいとは思いません。

何故ならば、解釈論とは法を活かすための理論だからです。

 

法を実際に適用している現場の声を無視した理論は、文字どおり「机上の空論」なのではないでしょうか?

駄文失礼。

 

■高木光先生

ライブ行政法
http://homepage3.nifty.com/hikaru-takagi/index.html

 

学習院大学法学部
http://www.gakushuin.ac.jp/univ/law/introduce/law/takagi.html

 

■関連する拙稿

【法律学の基礎】 答案の書き方
http://etc-etc-etc.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/post_1ef9.html

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学問・資格」カテゴリの記事

コメント

法律にお詳しいshoyaさんに、聞いてみたいことがあります。
記事の内容とは直接は関係ないのですが、選挙のときに、最高裁判所の裁判官の方についての投票がありますよね。
あれは、司法権という三権分立のうちの一つに、国民が関与する手段として形式的には存在していると思うのですが、実際には、一般人は、どの裁判官がどんな判決を下したかはほとんど知らないと思うのです。
僕は、法律については、大学のときに教養科目で法学をとって、民法の基礎の基礎をかじった程度の素人ですが、shoyaさんの最高裁の裁判官に対する投票に対する考えをお聞かせいただければ幸いです。

投稿: サイン | 2006年9月 9日 (土) 21:52

サインさん、コメントありがとうございます。

ただ、「最高裁の裁判官に対する投票に対する考え」という質問はやや漠然としておりまして、答えにくいというのが正直な感想です(勿論、自分なりに視点を設定して意見を述べるということも可能ですが)。

サインさんが、どのような理由で私の「最高裁の裁判官に対する投票に対する考え」をお知りになりたいと思っているのか、または、どのような視点から思索を深めておられるのかを教えて頂ければ、愚考を披瀝することもできるかもしれません(お答えするのに時間を要するかもしれませんが……)

投稿: shoya | 2006年9月 9日 (土) 22:35

そんなに深く考えているわけではなのですが、あれって、結構形式的なものにとどまっていると思うので、もっとテレビとか、新聞とかウェブとかで取り上げてみるのも面白いんじゃないかなあと思ったりするのです。
ただそこに、素人には法律は難しくて簡単には理解できないという壁があって、その壁を乗り越えるためには、メディアの役割は重要なんじゃないかなあと思ったりします。

投稿: サイン | 2006年9月10日 (日) 12:54

そうですね。
従来から指摘されているように、現在の国民投票制度は形骸化しています。

ですから、仰るとおりメディアの役割は重要だと思います。

ただ、現在では情報を伝えるメディア自体にも問題がありますので、国民自身が積極的に裁判情報を入手する必要がありますし、最高裁(事務総局)自身も、国民に積極的に情報を開示する必要があると思います。

……とは言え、これを最高裁に実現させるには世論の力が結局必要でしょうから、その意味でも、メディアの力は必要になるでしょうね。

とすれば、まずはメディア自身の正常化を図る必要があるのかもしれません。

投稿: shoya | 2006年9月12日 (火) 21:15

お答えいただき、ありがとうございました。

投稿: サイン | 2006年9月13日 (水) 18:53

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