【余談】 「絶滅」する学説?
Gakさんのブログに下記記事がありました。
Gakによる「若干のコメント」 : 関西刑法学の課題
http://meronpanss.exblog.jp/4220730/
この中でGakさんは次のように仰っています。
ここで言う「関西刑法学」とは、佐伯→中山→浅田・松宮 (敬称略) のラインを言う。大谷刑法学ではない(関西にいると分かるが、大谷刑法学は、 理論的には別系統である)。しかし、 「関西刑法学と言えば大谷刑法学」と多くの受験生が思われていいる事態そのものが、関西刑法学の危機なのである。
確かに、その一般的知名度からすれば「関西刑法学と言えば大谷刑法学」と思われているのかもしれません。
ちなみに、私自身は昔、中森喜彦先生の刑法第1部・刑法第2部の講義を拝聴した訳ですが、この 「平場先生 → 中森先生 → 塩見先生・安田先生」ラインは、Gakさんの仰る「佐伯→中山→浅田・松宮(敬称略)のライン」より遥かにマイナーなような気がします(笑)。
そして、中森先生の刑法総論の講義はとても刺激的で興味深いものでしたが、 中森先生は総論の教科書を出版されるおつもりは無いようです(ちなみに、 中森先生は行為反価値です。また、質問に行くと丁寧に教えて下さいました)。
学会からは総論の要望が強いようですし、先生ご自身、講義の際にはパソコンで印刷されたご自分の総論ノートを用いられているのですが… …。
そのため、現状では、中森先生の刑法総論の体系は外部からは、論文でしか窺い知ることができないようになっていると思います。
このような点からすると、Gakさんの
「学者は理論が全て。そんな受験生への妥協とか、 立法への影響力など考える必要はない」
というのも1つの答えであろう。
しかし、それでは「トキ」ではないが、絶滅してしまう。絶滅してからでは遅いのである。
という指摘は的を射たものであるような気がします。
中森先生の刑法総論体系は是非――「絶滅」前に――多くの方に知って頂きたいと思います(ちなみに、当然のことですが、塩見先生は中森先生の体系をベースにしつつも、 中森先生とは異なる見解です)。
■中森喜彦先生
京都大学 大学の紹介/概要 役員等紹介 理事紹介 中森喜彦理事からのメッセージ
http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/01_soshi/nakamori2005/message.htm
教官プロフィール(公法)
http://kyodai.jp/staff/nakamori.htm
教授の紹介 : 歯車スパイラル
http://haguruma.seesaa.net/article/3644612.html
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