【民法】 不法行為の基礎的な思考プロセス・その1 ――1に条文、2に理論
今日(から)は、 不法行為の基礎的な思考プロセスについて、一言。
民法709条以下が規定する不法行為は、実際上、非常に多く使われる規定である。
そのため、不法行為は様々な議論・答案に登場するが、 この不法行為の基礎的な考え方を正確に理解していない方が少なくない。
そして、多くの場合、直感的な結論と実際の結論が一致しているため、「何となく」 要件を当てはめ、「何となく」結論を出している方が多い。
しかし、そのような考え方では、法的に噛み合った議論をすることはできない。
また、少し混み入った事案に直面するとすぐにボロが出てしまう。
繰り返し述べていることだが、法律解釈論や法的議論においては、「まず条文」 である。
解釈論では、条文こそが最も権威あるテキストである。
そして、理論や体系は、その条文を支える基盤である。
簡単な事案であろうと、複雑な事案であろうと、粛々と妥当な結論を安定的に導き出すための道具が理論・体系である。
従って、議論をする際にも、答案を作成する際にも、まず条文に即して考えるべきである。
勿論、不法行為法のように、各要件に激しい争いがあり、条文だけでは結論を導くことができない場合もある。
そのような場合には、自分が採用する理論を着実に展開していく必要がある。
このようなプロセスを素っ飛ばして、直感で議論してはならない。
そのような議論は法的議論ではない。
……愚痴(?)が長くなってしまった。
という訳で、今回から、不法行為の成否・ 効果についての基礎的な思考プロセスについて説明していきたいと思う。
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コメント
不法行為のところは、私は(とりわけ)よく分かっていないので、syoyaさんの解説を楽しみにしています(^_^) 宜しくお願いします。
投稿: 春夏秋冬 | 2006年11月30日 (木) 22:04
コメント、ありがとうございます。
ご期待に沿えると良いのですが……余り期待しないで下さい(笑)。
投稿: shoya | 2006年11月30日 (木) 23:22