【司法試験】 考査委員ヒアリング調査結果
Gakさんのブログでも紹介されていますが、新司法試験考査委員に対するヒアリング調査の結果が公表されています。
Gakによる「若干のコメント」 : メッセージ
http://meronpanss.exblog.jp/4848719/
けったいな刑法学者の戯れ言 |
新司法試験考査委員に対するヒアリング
http://dolus.jpn.org/log/eid70.html
司法試験委員会会議(第29回)議事要旨・配布資料
http://www.moj.go.jp/SHINGI/SHIHOU/060920.html
司法試験委員会会議(第30回)議事要旨・配布資料
http://www.moj.go.jp/SHINGI/SHIHOU/061005.html
参考までに、公法系の委員の方々のコメントを一部、抜粋してみました。
旧司法試験と、本質的な問題点はあまり変わっていないような気がしますが……。
■公法系
「私は,全体答案の約4分の1に当たる420通を採点した。 憲法の論文問題で問うている最も核心的問題をきちんととらえ,論じている答案が1通もなかった」
「ただ,執筆するのに十分時間があり, 執筆するのに参考文献も読むことができる法科大学院の教員が法律雑誌に解説を書いている中にも,不適切,不十分な解説がある。」
「与えられた資料,法文から重要な事実を読み取り,これらに法令, 判例理論を適切に当てはめることにより適切な結論を導き出すという能力, 基礎的知識を養成するという点を各法科大学院の責任において検討されることを望む。」
「今回の出題では,訴訟形態のことを訊いているので, 出来るだけオーソドックスな訴訟で最大限の効果を上げるという極めて実務的な能力が不可欠である。 そのためには行政事件訴訟法の条文をしっかりと理解すること, それから判例百選等の基本的な判例をきちんと読込むことなどに重点を置いてほしい。」
「問題となった法律の立法目的は複合的目的であることを依頼者も認めているにもかかわらず,また, 目的の問題性は問わないと述べているにもかかわらず,単純に消極目的・積極目的二分論で書く傾向が見られた」
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コメント
正直、ここまで詳細な試験者の感想が発表されるとは思っていなかったので、今回の調査結果発表には驚きました。まあ、その、出来がよくなかったのは認めますが、ここまでコテンパンに論評されると、ただでさえ評判の悪いLS出身者に対する評価がさらに・・・・orz
公法系については、試験委員が求めているレベルが相変わらず高いという印象とともに、果たしてそのレベルについていけているLS教員がどれだけいるのだろうという感想を持ちました。院生の努力が必要なのはもちろんですが、教員の側も平均的な教育レベルをより一層高めていく必要があると思います。
投稿: 春夏秋冬 | 2006年12月16日 (土) 09:28
コメントありがとうございます。
そうですね。これまでは現役の考査委員の感想などを聞く機会は滅多にありませんでしたから(職務上、あまり話して下さいませんし)、私も興味深く読みました。
確かに、辛辣な指摘もありますが、このような指摘は以前からもありましたし、「愛のムチ」(笑)として受け止めれば良いのではないでしょうか?
また、公法系は、仰るとおり、伝統的な授業内容――官僚視点の行政法――という観点ではやや対応しづらいかもしれません。
従いまして、新司法試験を受験される方には弁護士視点の行政法という観点が必要です。
ただ、このような勉強は、実はそれほど困難なものではないと考えられます。
実際、実務では若手の弁護士も日常的にこのように勉強し、訴訟を行なっています。
必要な知識は伝統的な授業内容で取り扱われるもので十分でしょうし(むしろ沿革や理論は過剰かもしれません)、ただ、そのアウトプットの仕方が異なるだけなのではないか、と思います。
ですから、教員の方はそのアウトプットの仕方を重点的に指導すべきなのではないか、と考えています。
投稿: shoya | 2006年12月16日 (土) 18:50