【余談】 宮崎哲弥『新書365冊』
いつ読了したのか忘れてしまったのですが、宮崎哲弥著『新書365冊』(朝日新聞社、朝日新書006、2006年)を読了いたしました。
宮崎哲弥 -
Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E5%B4%8E%E5%93%B2%E5%BC%A5
宮崎哲弥とは -
はてなダイアリー
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B5%DC%BA%EA%C5%AF%CC%EF
■本書の概要
本書の概要については宮崎さんが「はじめに」で端的に説明されているので、引用させて頂きます。
「本書は、雑誌『諸君!』(文芸春秋)誌上で連載した2つの新書評 (「解体『新書』」 2002年1月号~03年6月号と「『今月の新書』完全読破」 2003年7月号~2006年3月号) をジャンル別に纏めたアンソロジーである」(3頁)。
■読了した感想
そして、読了した感想を言えば、「買って損は無かったし、 読んで損は無かった。読みたい本が増えた」です。
■内容
そこで、本書の内容を説明いたしますと、本書は全体で17章に分かれており、各章で「Best&Better」 という評価が与えられた”良書”と、「More」という評価が与えられたあと一歩の書籍が紹介されています。
「Worst」という評価が与えられた”悪書”は第16章を除いてあまり紹介されていません。
各章のタイトルと、各章の冒頭で紹介されている書籍名を挙げれば次のとおりです。
実際にはもっと多くの書籍が紹介されています。
第1章 教養
竹内洋『教養主義の没落』
第2章 哲学・論理学・数学
岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』
第3章 政治・国際問題
中西寛『国際政治とは何か』
第4章 経済と金融・会計
東谷暁『エコノミストは信用できるか』
第5章 法と自由
橋爪大三郎『人間にとって法とは何か』
第6章 歴史・文学・ことば
長山靖生『日露戦争』
第7章 社会・会社
三浦展『ファスト風土化する日本』
第8章 若者・教育
山田昌弘『パラサイト社会のゆくえ』
第9章 犯罪と監視社会
芦沢一也『狂気と犯罪』
第10章 生きる・死ぬ
広井良典『死生観を問いなおす』
第11章 科学
木村龍治『自然をつかむ7話』
第12章 脳・心・からだ
小沢牧子『「心の専門家」はいらない』
第13章 メディア
川上和久『北朝鮮報道』
第14章 文化
坪内祐三『新書百冊』
第15章 宗教
フリードリッヒ・ニーチェ『キリスト教は邪教です!』
第16章 問題な新書
『生命のバカ力』
最終章 緊急インタビュー その後の「新書完全読破」
長谷部恭男『憲法とは何か』
上記のように17章に分かれているのですが、各章で紹介されている新書の量には差がありますし、また、 書評の分量も新書によって異なります。
例えば、「第3章 政治・国際問題」、「第6章 歴史・文学・ことば」、「第14章 文化」は多くの新書が紹介されています。
逆に、「第4章 経済と金融・会計」、「第9章 犯罪と監視社会」、「第11章 科学」で紹介されている新書の量は少ないです。
また、書評の分量は多いもので約3頁で、少ないものは数行です。
ですから、科学の新書紹介をたくさん読みたい!と思っていらっしゃる方には本書はあまり向いていません。
書評の特徴としては以下の2点があります。
第1に、本書で展開されているものは単純な書評ではありません。
紹介している新書の内容に関連した宮崎さんのコメントも書評と同程度に展開されています。
そのコメントは比較的客観的に書かれており、自説が少数説である場合にははっきりとその旨を示されていますし、 なかなか好感が持てました。
第2に、宮崎さんの語彙が豊富です。
私は辞書をひかなければ正確な意味が分からない単語に何回も遭遇しました。
例えば、パラパラとページをめくっただけでも「瀰漫」、「規矩」、「韜晦」、「宿痾」、「董狐」という単語が登場します。
これは読みにくさの原因になるかもしれませんが、私は良い勉強だと思って楽しく辞書をひきました。
最近、こういう経験はありませんでしたし。
以上、簡単にではありますが、ご紹介いたしました。
本好きなら買って損は無いと思います。
ちなみに、巻末に索引が付いておりまして、なかなか便利です。
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コメント
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