【会社法】 459条1項柱書の読み方(?)
今日は、時々、質問を受ける459条1項柱書の読み方について。
非常に些細な情報なので恐縮だが……。
■質問内容
剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めを置くには、459条1項柱書かっこ書き反対解釈によって、「取締役の任期が1年以内であること」が必要とされている(前田庸『会社法入門〔第11版〕』〔有斐閣、2006年〕594頁など)。
しかし、459条1項柱書かっこ書きを、文字どおり反対解釈すると取締役の任期が1年(365日)を超える場合があり得るのではないか?
■条文
(剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定め) 第459条1項柱書
会計監査人設置会社(取締役の任期の末日が選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の日後の日であるもの及び監査役設置会社であって監査役会設置会社でないものを除く。)は、次に掲げる事項を取締役会(第2号に掲げる事項については第436条第3項の取締役会に限る。)が定めることができる旨を定款で定めることができる。
■説明
結論から言うと、365日を超える場合はあり得る。
459条1項柱書の説明で用いられる「1年」という表現は慣用的なものに過ぎない……と少なくとも私は理解している。
これは、取締役の任期が原則として2年と言われるのと同じである(332条1項参照)。
したがって、459条1項柱書かっこ書き反対解釈で導かれる要件は、正確には、江頭先生のように
「取締役の任期が1年を超えない(選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の日を超えない)こと」(江頭憲治郎『株式会社法』〔有斐閣、2006年〕600頁)。
と記すべきだろう。
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