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2007年10月25日 (木)

【民訴】 事実上の推定と法律上の推定

 

今日は、質問を受けたので、事実上の推定と法律上の推定について、ごくごく基本的なことを一言。

 

 

 

■定義

推定とは、「ある事実から他の事実を推認すること」を言う(高橋宏志『重点講義 民事訴訟法 上』〔有斐閣、2005年〕499頁)。

 

┌― 法律上の推定
|   |
|   ├―― 法律上の事実推定
|   |
|   └―― 法律上の権利推定

└― 事実上の推定

 

法律上の推定とは、推定が 「法規化され法規の適用という形で行われる」ものを言う(前掲・高橋同頁)。

 

法律上の事実推定とは、推定規定の内容が 「A事実あるときはB事実あるものと推定する」という場合のことを言う。

 

法律上の権利推定とは、推定規定の内容が 「A事実あるときはC権利あるものと推定する」という場合のことを言う。

 

事実上の推定とは、推定が「裁判官の自由心証の枠内で行われる」 ものを言う。尚、「この場合の『事実上』というのはde factoの意味である」(前掲・高橋同頁)。

 

 

 

■注意事項

法律上の推定の場合、A事実があればB事実・C権利の存在が法律上推定される。

 

推定された相手方としては、A事実が証明されたとしても、B事実・C権利の不存在を証明すれば推定を覆すことができるが、 この場合の証明は反証ではなく本証が必要である。

 

証明責任の転換の一種である(中野貞一郎ほか編 『新民事訴訟法講義 〔第2版〕』〔有斐閣、2004年〕359頁参照)。

 

 

他方、事実上の推定の場合、A事実があればB事実・C権利の存在が経験則上・論理則上推定される。

 

これは、単に自由心証による事実認定過程そのもの、あるいは、そこにおける経験則の適用の結果であって、この場合には、 推定事実の証明責任は、あくまで推定事実を要件とする法規の適用を求める一方当事者が負担することになる。

 

つまり、推定の相手方としては、B事実・C権利の存否が疑わしいという状態を作り出せば良い。即ち、反証で良い (前掲・中野340頁以下)。

 

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コメント

ネットのキーワード検索から辿り着きました。
記憶があいまいになっていたところ、大変スッキリ整理できました。
ありがとうございます。
これからもちょくちょく遊びに来させてください

投稿: 新63 | 2010年1月13日 (水) 16:09

拙稿がお役に立てたのであれば大変光栄です。

どの道に進まれるにせよ,修習は大変かと存じますが,よく遊び,よく学ばれることを祈念しております(^^)。

投稿: shoya | 2010年1月14日 (木) 15:42

この記事へのコメントは終了しました。

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