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2007年11月26日 (月)

【民訴】 上告制度の基礎の基礎

今日は、質問を受けたので、上告制度のごく基礎的な知識(の一部)について、ほんの一言。

 

 

■条文

今回は参照すべき条文の量がやや多いので引用は省略。

必要があれば、ここを参照

 

 

 

■定義

上告とは、「控訴審の終局判決に対する法律審への上訴をいう」(中野貞一郎ほか編『新民事訴訟法講義〔第2版〕』〔有斐閣、2004年〕581頁〔上野泰男〕)。

 

 

 

■説明

まず、制度の概要を簡単に図示する。

 

 実体要件たる上告理由(破棄理由)
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 ├― 憲法違反(312条1項)
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 ├― 絶対的上告理由(312条2項)
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 └― 判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反(325条1項・2項)

 

 適法要件たる上告理由の主張(上告権)
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 ├― 憲法違反(312条1項)の主張
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 └― 絶対的上告理由(312条2項)の主張

※ 高裁に対する上告の場合は、 「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反の主張」も上告権を基礎付ける。

 

 

現行法の上告制度は、基本的には、最高裁判所の負担を軽減することを念頭に置いて設計されている。

具体的に言うと、現行法は、上告の実体要件たる上告理由を制限するという設計になっている。

 

そもそも、上告が認められるためには、

 

1.実体要件たる上告理由(破棄理由)

2.適法要件たる上告理由の主張(上告権)

 

が共に備わっている必要がある。

 

つまり、上告が認められ、最高裁で破棄・差戻し、または破棄・自判が為されるためには、 破棄するための実体要件たる上告理由だけではなく、 上告が適法であると認められるための適法要件も備える必要がある。

 

 

そして、最高裁に対する上告については、この適法要件たる上告理由(上告権)が、憲法違反(312条1項)の主張と絶対的上告理由 (312条2項)の主張に限られている。

 

 高裁に対する上告の場合は、 この2つに加えて、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反(312条3項)の主張も適法要件(上告権)になる。

 

しかし、この限定を貫徹すると、最高裁に対する上告が認められる範囲があまりに狭くなってしまい、 判例の統一という最高裁の職責の1つを十分に果たすことができなくなってしまう。

 

そこで、現行法は、

 

「原判決に最高裁判所の判例に相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件についてのみ、 最高裁判所が、申立てに基づき、決定で、上告審として事件を受理することができる」(野村秀敏 『民事訴訟法の解説 四訂版』〔一橋出版、2005年〕172頁

 

とした(318条1項)。

 

したがって、現行法では、最高裁に対する上訴の手段としては、

 

1.憲法違反(312条1項) の主張と絶対的上告理由(312条2項)の主張

2.上告受理の申立て(318条1項)

 

の2種類が併存することになる。

 

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