【民訴】 無効判決について

先日質問を受けたので、今日は、無効判決について、簡単に一言。

■定義

無効判決とは、

「非判決と異なり、判決として存在しており、 当該審級を終了させるけれども、重大な瑕疵のため判決としての本来的効力（既判力、執行力、形成力、構成要件的効力など） を全部または一部発揮できないもの」

を言う（中野貞一郎ほか編『新民事訴訟法講義〔第２版〕』〔有斐閣、 ２００４年〕４２１頁〔松本博之〕）。

■説明

定義をご覧頂ければ、もう特に説明することは無いのだが、一般に無効判決と呼ばれる判決は、文字通りの無効ではない。

つまり、審級終了効は有している（判決確定効の有無については争いがある）。

※　審級終了効も何も有しないものは、非判決――判決の不存在とも言う―― である。非判決は判決としての効力を全く有しない。

そして、このような無効判決の具体例としては、

１．裁判権に服さない者に対する判決

２．実在しない当事者に対する判決

３．当事者適格を欠く者に対する判決

４．公序良俗に反する内容の判決

……などがある。

また、このような判決の無効を主張する者が為し得る行為としては、

１．上訴･再審

２．（原告であれば）再訴

３．（被告であれば）不存在確認の訴え

４．不法行為に基づく損害賠償請求など （最判昭和４４年７月８日民集２３巻８号１４０７頁参照）

……などがある。