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2008年5月12日 (月)

【刑法】 状態犯と継続犯の区別の仕方

 

今日は、状態犯と継続犯の区別の仕方について、簡単に一言。

 

と言っても、重要な記述は(いつもどおり)引用部分にしかありませんが……(>_<)。

 

 

 

■定義

状態犯とは、

 

「構成要件的結果の発生によって法益侵害が発生し犯罪も既遂となる点は、即成犯と共通であるが、その後、行為者の行為によって法益侵害状態が継続するもの」(裁判所職員総合研修所監修『刑法総論講義案(三訂版)』〔司法協会、平成16年〕52頁

 

を言います。典型例は窃盗罪です。

 

 

継続犯とは

 

「構成要件的結果の発生とともに、法益侵害も発生し、犯罪は既遂となるが、その後も犯罪行為を継続している間、終始法益侵害の状態も継続して、犯罪の継続が認められるもの」(前掲・講義案53頁

 

を言います。典型例は監禁罪です。

 

 

 

■説明

状態犯と継続犯の観念的な区別は、グラフで図示すれば、一目了解です(ブログで簡単にグラフを図示できる方法、どなたかご存知ありませんか(^_^;)?)。

 

とは言え、実際の各犯罪が状態犯か継続犯かを区別することは初学者ならずとも、なかなか難しい場合があります。

特に、特別法に定められた犯罪類型の場合は、自分で判断しなければならないことも少なくありません。

 

 

そこで、区別を容易化する思考方法として、次のような見解が主張されています。

 

すなわち、

 

継続しているのが構成要件該当行為なのか(監禁はその継続中、監禁行為そのものが継続しているといえる)、

それとも単に法益侵害の状態が継続しているにすぎないのか(窃盗の場合、構成要件に該当するためには占有の侵害と利用の妨害の両者が必要であるが、行為後は占有の奪取という部分が欠落する以上、構成要件に該当する行為は終わっている)という基準」(西田典之『刑法各論〔第3版〕』〔弘文堂、平成17年〕243頁。太字は引用者

 

です(元々の主張者〔出典〕は林美月子先生のようなのですが、神奈川法学が手元にないため、孫引きに近い状態になっております。申し訳ありません)。

 

 

この基準は非常に明快で、かつ、従来の状態犯・継続犯の定義や実体をうまく説明でき、更には、新規の犯罪の説明も可能ではないかと思います(「学説」のあるべき姿の1つとも言えます)。

 

 

ちなみに、元々の林先生のご論文は林美月子「状態犯と継続犯」『神奈川法学』24巻3=4号1頁以下とのことです。

 

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