【余談】 Interesting News : Aug 13. 2009
久々に質問を受けたので,簡単にその内容をご紹介いたします。
質問内容は,「敷金の,いわゆる”当然充当”の範囲はどこまでか?」というものです。
結論から申し上げれば,賃貸借契約から発生する賃貸人の債権が原則として全て含まれると考えて良いと思います。
皆様ご存知のように,敷金とは,
「……賃貸借存続中の賃料債権のみならず、 賃貸借終了後家屋明渡義務履行までに生ずる賃料相当損害金の債権その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得することのあるべき一切の債権を担保し、 賃貸借終了後、……明渡がなされた時において、それまでに生じた右の一切の被担保債権を控除しなお残額があることを条件として、 その残額につき敷金返還請求権が発生するもの」
を言います(最判昭和48年2月2日民集27巻1号80頁。但し,家屋賃貸借の事例)。
そして,
「…… 目的物の返還時に残存する賃料債権等は敷金が存在する限度において敷金の充当により当然に消滅することになる。 このような敷金の充当による未払賃料等の消滅は,敷金契約から発生する効果であって, 相殺のように当事者の意思表示を必要とするものではない」
とされています(最判平成14年3月28日民集56巻3号689頁)。
そして,この「賃料債権等」という文言には,特に制限が付されておりません。
したがいまして,今後極めて特殊な事例などに対する事例判断は格別, 原則として全ての債権が当然に充当されるのではないかと考えられます。
尚,この点に関する主張立証責任について,大阪地裁の大島眞一判事は次のように述べられ,主張立証責任という観点からは, 賃料債権とその他の債権は質的に異なるとされています(大島眞一『<完全講義> 民事裁判実務の基礎』〔平成21年, 民事法研究会〕388頁) 。
「敷金は用法遵守義務違反等の債務不履行により発生する損害も担保するが, 用法遵守義務違反は,賃料とは異なって一定期間の経過によって当然に発生するものではないから,敷金返還請求権に対し, 賃貸人においてその事実を抗弁として主張・立証する必要があると考えられる。」。
2009-08-13 - ボ2ネタ [ボ2]
■[司法]守秘義務…会見に違和感 地裁職員が裁判員の発言を遮るハプニング
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やや前の記事ですが,大変に羨ましいので(笑),ご紹介いたします。
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