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2009年11月30日 (月)

【余談】 修習で役立つ書籍・刑事編

 

 

前回に引き続き,修習で役立つと思われる書籍をご紹介いたします。今回は刑事編です。

 

拙稿:【余談】 修習に役立つ書籍・民事編
http://etc-etc-etc.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-e9a8.html

 

寡聞にして存じ上げなかったのですが,30日に導入起案があるんですね。そもそも,この記事を書くきっかけを与えてくれた友人は任官志望なのですが,小金井兵庫さんが指摘されているように,導入起案は任官志望者にとって大事ですので,是非,頑張ってください(……と思っていたら,本記事の公開が30日の17時を過ぎてしまいました。申し訳ありません)

 

兵庫の日記~blog edition~:新63期修習で刑裁・民裁修習中の方々へ
http://blog.livedoor.jp/koganei_hyogo/archives/50943078.html

 

 

 

■刑事編

松尾浩也監修『条解 刑事訴訟法<第4版>』(弘文堂,2009年)

本書は正確にはまだ発売されていないのですが(12月1日発売予定),前版のころから需要が高い書籍でしたので,ご紹介いたします。

と言っても,特にコメントすることがないくらい有名な書籍です。本書は,多くの著名な実務家や研究者が執筆に関わったコンパクトなコンメンタールで,刑事訴訟法についての調べものをする際にかなり役立ちます。

 

検察修習や弁護(刑弁)修習ですぐに必要になることは少ないかもしれませんが,数々の起案や2回試験をも考慮に入れると,金銭的に余裕があるのであれば手元に置いておいて損は無いと思います。

 

但し,規則の意味や解釈を調べるのにはあまり向いていません。

最新版の情報量の増加っぷりからすると,規則についての記述も増えたのかもしれませんが,恐らく増加したのは裁判員裁判関係ではないかと思います(^^;)

 

弘文堂:条解刑事訴訟法<第四版>
http://www.koubundou.co.jp/books/pages/35467.html

 

 

 

『増補 令状基本問題 上・下』(判例時報社,2002年)

本書は,ひょっとするとあまりメジャーな書籍ではないかもしれません。

ですが,本書は,特に裁判官に対しては非常に影響力の大きい書籍でして,任官志望者であれば必携と言っても過言ではないと思います。

 

本書では,令状が関わる様々な問題に対して,著名な判事(調査官経験者や教官経験者が多いです)が緻密な論考を展開しています。

当然のことですが,判事の中でも特に優秀な方が書かれた書籍ですので,本書を精読すれば,理論的に堅牢なだけでなく妥当な結論を導ける多数の見解を学ぶことがではます。

 

但し,本書はあくまで令状に関わる問題だけを対象にしています。端的に言えば,任官志望者以外の者が修習生の段階でこれ程精密な議論を咀嚼する必要があるのか(他にも学ぶべきことはあるのではないのか)という疑問が無きにしも非ずです(笑)。とは言え,法曹三者の意見を忌憚無く聞けるのは修習生の特権ですから,猛烈に勉強するのも一興かもしれません。

 

 

 

小林充=香城敏麿編『刑事事実認定 ――裁判例の総合的研究 上・下』(判例タイムズ社,1994年)

本書は,元仙台高裁長官の小林充先生と 元福岡高裁長官の香城敏麿先生が編集され,お2人とその他のベテラン判事によって執筆されたもので,刑事事実認定関係の書籍で現在最もスタンダードなものです。

上巻では刑法総論関係の論点(純粋に総論に限られたわけではなく,例えば殺意についての論考もあります)が扱われており,下巻では刑法各論関係の論点が扱われています。

 

本書では,それまでの諸判例が分析され,その上で,当該認定を為すに際して判例上重要視されている類型的事実が抽出されています。そして,なぜ,そのような事実が判例上重要視されているのか説明されています。

 

既に本書出版から15年が経過しており若干古くなった印象は否めませんが,本書は明らかに『刑事事実認定重要判決50選 補訂版 上・下』などにも影響を及ぼしていること,本書の執筆者が刑事裁判官に対して幅広い影響力を持っていることを勘案すれば,本書の持つ実践的重要性は些かも失われていないと思われます。その意味で刑事裁判官,刑事弁護人を目指される方であれば,まずはこの本を買われても良いのではないかと思われます。

 

但し,出版時期からも分かるように,近時の判例はカバーされていません。その点をお含みおきください。

 

 

 

ダイヤモンドルール研究会ワーキンググループ編著『実践! 刑事証人尋問技術 事例から学ぶ尋問のダイヤモンドルール』(現代人文社,2009年)

本書は,後藤貞人先生をはじめとする大阪弁護士会所属の著名な刑事弁護人の先生方が執筆された書籍で,刑事裁判における証人尋問についてまとめたものです。

タイトルの『ダイヤモンドルール』は,キース・エヴァンス『弁護のゴールデンルール』(現代人文社,2000年)にあやかったもので,ゴールデンルールを超えるルールという意味がこめられているそうです。

 

その内容は極めて実践的で,まさに証人尋問の行い方が微に入り細に入り説明されています。ここに記載されている証人尋問のテクニックは民事の証人尋問でも応用できるものが多いのではないかと私は考えています。

 

本書を精読した上で,刑事裁判修習,刑事弁護修習,検察の公判修習に臨めば,高度の知識を基に様々な事項を学べると思います。

個人的には,刑事弁護にご興味をお持ちなのであれば,本書を強くお薦めいたします。

 

 

 

『刑事弁護ビギナーズ』(現代人文社,2008年)

本書は,刑事弁護を精力的に行っている弁護士経験2年~5年の若手弁護士を中心にして執筆された書籍です。

端的に申し上げて,刑事弁護に関われるのであれば本書は必携です。

 

その内容は,完全に実務的知識中心で,しかも,第1章の「接見・取調べ・受任」に始まり,第12章の「判決とその後」,第15章「特殊なケース」のマスコミ対応の方法まで 多岐にわたっています。

また,若手弁護士が中心になって書かれただけあって,若手弁護士が直面するであろう問題(そして,ベテランの先生方には当たり前で問題にならない事項)についても言及されており,同様の問題に直面する可能性が高い修習生にとっても魅力的な内容になっています。

 

本書は,基本的には弁護修習で役立つと思われますが,弁護士の活動を理解するという観点では刑事裁判修習や検察修習でも十分役立つと思います。

ちなみに,書式が記録されたCDが付録となっています。

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